今年4月の国土開発幹線自動車道建設会議(国幹会議)で事業の本格化が認められ、今年度の国の補正予算では、用地買収費など計約71億円が初めて盛り込まれた。しかし、政権交代後の先月9日、測量・設計費約5億円を除き、予算の9割以上の執行停止が決まった。同省有料道路課は「今後の見通しは全く立っておらず、期限内に買い取りできない事態が起きた場合も、対応は白紙」としている。
こうした状況に、5区市も対応に苦慮。練馬区では、今年度も地権者から約10件の買い取り申請があったが、「国の方向性が不透明になり、買い取るべきか判断できず困っている」と話す。
他の区市からも「国は約束通り引き取るのか」と不安の声が上がっており、ある都幹部は「渋滞解消のためにも、国は一刻も早く事業を進めるべきだ」と憤る。
波紋は地元の住民にも広がっている。大泉ジャンクションに近い練馬区東大泉では、密集する住宅街の中で、買収された空き地が点在。計画用地内に住む男性(80)は、「近所の人が次第にいなくなり、街の活気が失われつつある。
群馬県の 八ッ場
ダムと同じで、住民は政治に振り回される被害者」と訴える。既に土地の一部を売却した女性(70)も「(事業が進むと)駐車場にするくらいしか使い道がなく、手放した。自分の家にはまだ住んでいるので、早くはっきりさせて欲しい」と不安を募らせる。
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