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 2009年日誌

 「団結」ビラ
福祉労働者連帯ユニオン「街」分会
2009年11月労働者集会に向けて、スタート
150号~    (2009.6.16~9)

    戦争・民営化、道州制粉砕!
   石神井川、拡張事業、絶対反対!
障害者解放、自立支援法撤廃!

福祉労働者連帯ユニオン 
ビデオ・ライブラリー
 
2009年・2008年・2007年
スケジュール

6月20日(土)
ミーティングの後に、出発 お弁当を持って… 清水さんから差入れ
差入れです 今日の石神井川パトロール隊 「あれは何だ!」
カルガモでした 鳩でした
店前、法大弾圧カンパ
昼食はレッちゃん作・ディパックさん風カレーナス入り。ハンバーグ付き
地元農家のキャベツ 清水さんのパイン
俺は自立するぞ! 夕食は、つけ麺
唐揚げ ゴーヤー・チャンプルー 三里塚のズッキーニのソテー
ソウル・ワーカーズ・屋台、タクシー労働者・ミネちゃん登場。
手取り15万だよ。冗談じゃない!
今、全世界で、この動画が注目されています。
動労千葉を支援する会のホームページから転載


高画質ビデオ→

海賊対処法案の衆議院再可決=成立、弾劾!
とめよう戦争への道!百万人署名運動 のブログから転載
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 本日(6/19)午前中の参議院本会議で、海賊対処法案は否決されました。しかし、午後からおこなわれた衆議院本会議で、「再議決の動議」が出され可決、再度採決がおこなわれ、結果、出席議員の2/3以上の賛成で可決、成立が強行されました。

 日本を再び戦争国家にしないため「歯止め」となってきた憲法9条が、実質的に絞殺された瞬間でした。国会論議で与野党が決して明らかにしなかったこと、それは、ソマリア沖でおこなわれている戦争作戦でした。EUとNATOが連携強化して、アデン湾から南方の西インド洋上セージェル沖まで作戦地域を拡大しており、この作戦に日本のP3C哨戒機が加わる可能性があります。「海賊対策」と称して、ただ船舶を護衛するということに留まらず、「摘発掃討作戦」に陸海空自衛隊が参加していくことになるのです。身震いがする思いです。

 多くの人々が国会前にかけつけ、「再可決するな!」と抗議の声をあげました。私たち百万人署名運動も、反戦共同行動の皆さんと一緒に昼からの抗議集会・シュプレヒコールで反動国会を弾劾し抜きました。緊急の呼びかけでしたが、千葉・神奈川・三多摩・杉並・北部・南部などの連絡会から仲間がかけつけました。発言の中で多くの人が、こんな翼賛国会の中で私たちの未来を決められるのを拒否する!職場で、地域で、学園で、自分たちの闘いでこんな社会を変える力をつくっていこう!と訴えていました。(事務局S)
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ビラもまきました           思い思いのメッセージボードでアピール

オバマ「プラハ演説」に賛同する区議会決議を徹底弾劾
北島邦彦の「すぎなみ未来BOX」 のブログから転載
今日で区議会第2回定例会も閉会です。その最終日、よせばいいのに「アメリカ合衆国大統領による『核兵器のない世界』に関する演説に賛同し、核兵器廃絶に向けた取り組みの強化を求める決議」案なるものが、与野党すべての多数会派によって提案されました。採決の結果は賛成44:反対3。私が述べた反対意見は下記のとおりです。そのなかで日本共産党がこの「プラハ演説」を賛美していると批判したくだりで、日本共産党H議員から「変わってるんだよ!」とヤジがありました。「?…どっちが?」と一瞬思いましたが、まさか日本共産党が「変わってるんだよ!」と白状するということはないでしょうね。また、反対意見を述べ終えて演壇を降りるところで、日本共産党F議員から「じゃあどうやって核廃絶するんだ!」のヤジ。おいおい、核廃絶は「政府間交渉」によってでしかできないと、国際的に団結した労働者階級の反戦運動に絶望している(いや、端から眼中にない)日本共産党の反労働者性を自己暴露しているようなものですよ。これがスターリン主義っていうものの真の姿だね。

決議案に対する反対意見
「アメリカ合衆国大統領による『核兵器のない世界』に関する演説に賛同し、核兵器廃絶に向けた取り組みの強化を求める決議」案について、反対の論拠を内容的には本議会の一般質問の中ですでに明らかにしていますが、反対意見をあらためて述べます。

決議案では、オバマ米大統領のいわゆる「プラハ演説」について、「核兵器を使用したことがある唯一の核保有国として、米国には行動する道義的責任がある」との一節をとりあげ、米国が核廃絶に向けて行動する自己の責任を謳ったものとの認識を示し、賛同を表明しています。

しかし、この一節を精読してみると、「私たちは、20世紀に自由のために戦ったように、21世紀には、世界中の人々が恐怖のない生活を送る権利を求めて共に戦いに立ち上がらなければなりません。そして、核保有国として、核兵器を使用したことがある唯一の核保有国として、米国にはそのように行動する道義的責任があります。米国だけではこの活動で成功を収めることはできませんが、その先頭に立つことはできます。その活動を始めることはできます」となっています。オバマ米大統領の言う「道義的責任」とは、原爆投下に関する戦争責任といったことではまったくありません。そして、「責任をもって共に戦う」のは前後の文脈からしても明らかなように、いわゆる「対テロ戦争」ということです。これはアフガニスタンで、パキスタンで、イランで、北朝鮮で…そして米政府が一方的に規定したテロリストとされる国家・組織・人物が存在するすべての地域で、米国が核兵器の使用も辞さないという宣言ではありませんか。

しかも、「核兵器が存在するかぎり、わが国はいかなる敵であろうとこれに対する抑止を行ない、同盟諸国に対する防衛を保障するために、安全・確実で効果的な核兵器備蓄を維持するのです」と述べ、核戦力を高度化し、核独占を強化し、核兵器を行使することを公言しています。NPT体制=核不拡散体制の実体がこれであり、核兵器をアメリカ帝国主義のみが独占するというものでしかありません。続けて、「そのうえで私たちは、核備蓄量を削減する努力を始めます」と述べて、あたかも核廃絶に向けてのスタートを切るかのような言辞を弄しています。しかしこの言及が示すことの真実は、更新時期を迎えた核弾頭について、世界大恐慌の震源地であるがゆえに国家財政も完全に破綻しているなかで、総数を減らしていきながらより安価で、効率的で、しかも使用しやすい核弾頭に刷新していこうとするものでしかありません。

このような「プラハ演説」を、日本共産党は『しんぶん赤旗』のトップで2回にわたって全面賛美し、従来の原水禁運動の中から8・6ヒロシマ―8・9ナガサキにオバマ米大統領を招待しようなどという声があがり、連合は北東アジアの非核化―すなわち北朝鮮の核開発を餌食にした排外主義の扇動を行なう1000万人署名運動を始めているありさまです。こうした間違った風潮に毅然として真実を明らかにするためにも、決議案には反対します。
医療問題等調査特別委員会
今年の区議会特別委員会への所属は「医療問題等調査特別委員会」となっていましたが、今日はその初めての審議がありました。報告事項のなかに、国の単年度施策として女性の子宮がん・乳がんの無料検診が実施されるというのがありました。子宮がんは20歳以上の5才刻みの年齢の女性、乳がんは40歳以上の5才刻みの年齢の女性が対象です。従来の区民検診では1000円の自己負担となっていますが、自治体発行の無料クーポンを配布する計画です。この区民検診については、数年前から自己負担制度となったこと、マンモグラフィー検査のみに限定されてしまったこと(器械を設置している医療機関が少ない)などの問題や、乳がん検診についてはもっと年齢を下げる必要があるのではないかなどの課題があります。しかし、今回の施策が先に国会で成立した補正予算を根拠にするものであり、「緊急経済対策」―それががん検診とどんな関係が―というのだから…???ですよね。担当課長も「う~ん」と唸っていましたが。

夜は「東京生きさせろ!!連絡会」K班での『前進』読者会。「2009国際反戦共同声明」の読み合わせをしつつ、6・14-15闘争についての総括議論をしたところです。写真は6・14渋谷デモ出発の図。


6月19日(金)
練馬区役所の労働者
お話をします 石神井川、定期パトロール隊に出発
昼食はカヤクそーめん 三里塚のカブ
辛味大根をおろします
「前進」読み合わせ 草むしりに精が出ます 甚平のお買い上げ
サロンド・ベッキー 何かを製作中
地域の薬剤師さんに相談中 夕食はカツオ、イナダ、アジ、イワシ、
エンガワの刺身
大根サラダ ハマちゃん差入れのスイカ ニシンの切り込み
労働者が働いていたので、記念写真
石神井川周辺パトロール隊の報告 ハネやん元気ですか!
練馬区役所の労働者です
今度、飲みましょう!
石神井川にあるスケール
朝、制服姿の人を見かけたので声をかけると、区役所の防災課の人だった。
「集中豪雨のときは、石神井川の水位情報にご注意を!」というチラシを配っている。冗談じゃない!!
何にも情報がない地域住民に、石神井川がいつもあふれているかのように思わせるのが目的なのか?
第一、なぜ集中豪雨が起こるのか、なぜ、一気に川に雨水が集中するのか、そちらの対策を練るほうがよほど防災になるのではないか?!
石神井川の拡張、それしかない!!みたいな宣伝はやめてくれ!!と、みんなで抗議しました。

防災課の職員も「確かに、街がアスファルトに覆われているのがいけないと、僕も思うんだ」、「僕はこの建物がいけないと思うんだ。ビル風、これが環境を壊しているよね」、なんて本音をいっていた。
「石神井川拡張を推進することになるのなら、僕は、悪役として登場しちゃったことになるね」と、言う職員もいた。

道州制についても、何も聞かされていないらしく、公務員のいったん全員解雇、と聞いて、びっくりしていた。
「えっ~!!イエスマンだけ、再雇用されるんですか?僕、イエスマンにはなりたくないですよ!!」
だったら、一緒に闘おう!!道州制絶対反対!!
自立支援法について、区役所に話を聞きに行こう、と、ミーティングで話し合った。
早速、障害者福祉課、に電話。
「職員はいいけど、メンバーは来たら困る」という答え。
なぜメンバーが行ってはいけないのか、聞いてみると、
「この前怒られたから」
誰に?
「メンバーの皆さんに」
精神病者は何をしでかすかわからない、恐ろしい存在だ、と思っているのか!!
こんにちは。サロン・ド・ベッキーです。
昨日に続いて二人目のお客さんがいらしてくれました。
「街」の人気者の洋平君です。実は、洋平君のカットは大変なのです。どうしてかというと、彼の髪の毛は硬くて、量が多いのです。そして、短いので、カットする度に髪の毛が飛んでくるのです。
うっかり口をあけてしまうと、口の中まで毛だらけになってしまいます。
実は、ベッキーは短髪のカットはちょっと苦手なのです。でも、頑張って全部ハサミで仕上げました。
これにも、理由があるのです。
結構、伸びてしまったので、バリカンが負けてしまうのです。量が多く、硬く、伸びすぎてしまったという条件が重なると、カットしていても、バリカンが進まなくなってしまうのです。
いつもはじっとしていない洋平君ですが、最後までじっとしていることができました。ありがとうね。洋平君。
出来上がりはEXILEのATUSHI風に仕上がりました。
な~んて、技術不足でいわゆるタイガー・カットに近いものになってしまいました。(ゴメンナサイ・・・・・。)
でも、また来てくれるといってくれました。ありがとうね。洋平君。
次のお客さんは予約が入っていて、ジミーちゃんが来店してくれる予定です。
お待ちしております。
 開店時に、こんなビラを配布している人を発見。練馬区の防災課の職員だった。
私たち地域住民が反対していること、練馬区の労働者「道州制反対!」を訴えた。
 2007年5月23日の関越道・大泉車止め撤去、断固阻止! 第一弾の時も、わけも分からずに、区役所に動員されていた、と言う。近くの別の工事現場でも、区役所の知り合いが居た。その人も、その時、動員された一人。
     
この時は、練馬区土木課労働者が100人近く動員されていた。全員、自治体労働者なのに。
道州制の攻撃性について、全然知らされてないみたいで、「全員解雇に驚き、選別再雇用に『イエスマンに
なれってことか!』と疑問をもったようだった。
2007年5月23日 大泉車止め撤去、断固阻止! 第一弾
 
みなさまへ
先日お知らせした大泉・関越道側道の車止め撤去問題です。

今日(22日)、異例の臨時区議会が開かれました。結論的に言えば、すったもんだしたあげく、自公の強行採決でした。
その論理は、大気汚染など環境配慮から35年間車止めをしていたことを、あたかも一部住民のエゴのようにいいなし、区行政に従う町会長や自民党後援会などを集めて「合意を得た」というひどいものであり、「あとは行政の判断」だとして「理解を求める」というのです!なくてはならない車止めをはずして、どうして住民の安全が守れるのでしょうか?どうして理解ができるのでしょうか?マスコミも多数駆けつけていましたが、「練馬区はほんとに理解できない」と言っていました。なお、志村区長は一度も答弁せず、でした。

もうひとつわかったことは、これは外環問題そのものだということです。
地図を見てもらえばわかりますが、関越道側道の車止めを撤去することが、外環南進ー目白通りインターと青梅街道インター建設の前提だということです。


今日は40名ぐらいの大泉の方が駆けつけ、自公議員にヤジをとばしていましたが、交流してお互いにこれがひとつの問題だとわかったという次第です。
私たち青梅街道インター予定地住民には「大泉の渋滞・大気汚染改善のため」といっておきながら、当の大泉住民にはこの仕打ち。二枚舌三枚舌の上住民無視の強行突破、許すわけにはいきません。

 明日(23日)午前中に車止め撤去に区行政がやってくると思われます。地元住民は早朝から見張りを立て、マスコミも7時頃からやってきます。
急なことで駆けつけるのは大変と思いますが、念のため位置を示しておきます。行って来ます。
F
この「こぐれの森緑地」からちょっと東側だと思われます。

極悪志村練馬区政とは徹底対決以外にありません。住民はどんどんつながって、たたかいましょう。
とりあえず。

 ビラ 2枚目
夕食後、調布保谷線道路の現地調査。ここはパレスチナか?
住宅地を全部立ち退かせて、新道路が強行着工されている。こんな道路なんて誰も必要としていない。
石原都知事の東京軍事都市計画のための道路
 夜、福祉労働者連帯ユニオンの全体会。6・14~15の総括と11月労働者集会へ向けて熱い討論
終わって、ソウル・ワーカーズ・屋台で熱い打ち上げ!
西川社長と一体化したJP労組大会弾劾! 怒りの包囲デモ貫徹!
 6月17日から仙台市で始まったJP労組第2回定期全国大会は、JP労組中央が「経営との一体化」を宣言するなど完全な階級移行を歴史に刻印する大会となった。全国労組交流センター全逓労働者部会を先頭に50人を超える全逓労働者、地元仙台と東北地方の労働者、東北大学の学生などが早朝から会場前に登場し、JP労組中央を弾劾する情宣と会場を包囲するデモを行った。集まってくる代議員・傍聴者にビラを手渡し、全逓労働者を始め労働者・学生がマイクを握って訴えた。

 「労組の委員長が会社の顧問になるとは、一線を越えた裏切りだ。絶対に許せない!」「中央本部は『同業他社との競争』をあおっているが、大間違いだ。ヤマト運輸の労働者も佐川急便の労働者も同じ労働者。団結する仲間です!」

 午前10時から会場を包囲するデモを行った。「山口委員長は即刻辞任しろ!」「本部原案は否決だ」「民営郵政ぶっつぶせ!」のシュプレヒコールは現場の声だ。正午から会場前で再度アジテーションと署名活動を展開した。5月31日付で日本郵便輸送中野営業所を解雇された青年労働者K君がマイクを握り訴えた。「JP労組東京輸送支部幹部および中野分会長の裏切りで大量解雇された。絶対に許せない」。昼休憩で出てきた大勢の代議員・傍聴者が注目して聴いている。

 前日の16日には仙台市内で「6・16労学総決起集会」が60人を超える結集で行われた。大会闘争に結集した全逓労働者を始め、仙台・東北から多くの労働組合や学生が参加し大成功した。

 今回の大会はJP労組中央の組合支配の破綻を示している。山口義和委員長は、当日の地元紙のインタビューで、西川善文社長の続投について「大歓迎だ。日頃から西川社長との信頼関係は出来上がっている」「経営方針は西川社長と一致する」と強調し、会社と一体であることを公言した。今回の大会で中央本部は、JPEX子会社化をテコとする大合理化と労働強化、「賃金3割カット」を軸とする「成果主義賃金」への移行などの反労働者的方針を率先して受け入れることを宣言した。会社とひとつになって郵政民営化を進めていくということだ。山口委員長の日本郵政顧問と郵便局会社監査役への就任も予定されている。JP労組中央は労働者の敵そのものである。闘う全逓労働者はあらためて郵政民営化絶対反対で闘うことを宣言し、動労千葉派が組合の主流派となることを誓う。(KM)
79年イラン革命以来の大規模反乱、11都市に拡大…死者15人以上に
動労千葉を支援する会のホームページから転載

アメリカ国債の引き受け先をグラフ化してみる(2009年6月暫定更新版)
garbagenews.net のブログから転載
以前アメリカ合衆国(以下「アメリカ」)の国庫部門専用ページからデータを抽出して、米国債(アメリカ政府財務省発行の国債)の引受先をグラフ化した記事を【アメリカ国債の引き受け先をグラフ化してみる(2009年1月更新版)】で掲載したが、それから半年が経過した6月頭以降、多くの読者から「データの更新版は無いのか」というお問い合わせをいただいている。例の「金融危機救済予算」の7000億ドルも当初金融セクターを救済の対象としていたのが、半年の間に自動車3大企業のうち2社までが連邦破産法11条の適用を受けるなど、状況は刻々と変化を遂げている。今後、場合にはよっては地方自治体に対する連邦政府の救済もありえるだけに、「7000億ドルで済むのか、済まされるのか」という問いに対する明確な回答は見つからない。そしてそれらの企業などを救済する手当てこと「予算」は、事実上国債発行で確保することが確定している(増収になる見込みはなく、支出が増えるのなら、どこからか調達しなければならない。紙幣そのものを刷ってばらまくわけにはいかないので、国の借金としての国債を発行する必要がある)。そのような状況がますます悪化しているような雰囲気においては、米国債(アメリカ国債)の動向をチェックしたいという心境は理解できる。前回の記事からほぼ半年経過したこともあり、今回データの更新もあわせ、記事とデータの再編集を行うことにした……

……のだが、結論から先に述べると、現時点で取得できるデータは前回から半年が経過しているにも関わらず5か月分(2009年3月分まで)しかない。そこで今回は「暫定版」として5か月更新分を計算・グラフ化し、2009年4月分が掲載され次第、あらためて「正規更新版」として掲載する。なぜ「2009年4月分」にこだわるのかは、後ほど解説する。

さて、念のために確認しておくと、「国債」とは(はじめから利率分を割り引いている場合もあるが)「この証書の期限に、書いてある利息分を追加して返すので、お金を貸してください」という国の借金証明書のことを指す。英語ではTreasury securities(国庫証券)と表現する。

アメリカ政府財務省発行の国債こと「米国債」の引き受け先データはどこで手に入るのか。【アメリカ合衆国の国庫部門専用ページ】から入手可能。具体的には【過去のデータはこちら】【直近データはこちら】となる。直近のデータは後ほど細部が修正される場合もあるので、注意を要する(今回も再び一部修正を強いられた)。

該当ページには各国の保有額(新規発行額では無い)がドル単位で算出され、主要国分のデータが掲載されている。そのうち日本をはじめ、主要国上位6か国(エリア)を抽出してグラフ化したのがこちら。2000年3月から最新データの2009年3月分までが対象。毎年期間切り替えの時期があるので、その部分は差が生じないように調整をしてある。要は概要が分かればよい。金融(工学)危機が「現状では」ピークを迎えた2008年10月以降のデータを見ると、表立った危機度は後退している中でも、全体額がさらにずいぶんと増加しているのが確認できる。逆に言えば発行された米国債が、危機を押さえつける財源に回されているともいえる。
米国債の引き受け先(全体額含む)
米国債の引き受け先(全体額含む)
前回のグラフと比べてやや縦横比が変わったように見えるのは、サイトの移転・デザイン変更で、横幅の制限がやや緩和されたため。それを別にすれば前回同様に「国債が借金なのは理解しているはず、だが……さらに増えてないか?」という印象がぬぐえない。実質値にして、この5か月で3000億ドル(約30兆円)ほど総額が増えており、前回のグラフ形成時からさほど変わらない急ピッチなペースで上昇していることが分かる。また、ドルを基準にした絶対額で見ても、日本と中国の逆転現象が継続しているなど、大まかな各国間の相対関係・状況に変化は無い。

なお※1の石油産出国は中東諸国以外ベネズエラ、インドネシアなども含む。また※2のカリブ諸国の銀行とは俗に言う「タックス・ヘイブン」なところ。実際の金主は不明、というところ。

この傾向は、全体額を除いたグラフで見るとさらに明らかになる。
米国債の引き受け先(主要国のみ)
米国債の引き受け先(主要国のみ)
いずれもドルベースであることを前提として、ではあるが、イギリスが柔軟な運用をしていたこと、ブラジルが地道に、そして2006年中盤以降猛烈な勢いで買い集めていたのが分かる。そしてそれ以上に中国が2002年中盤以降大規模な購入をしていることや、日本の保有額が少しずつだが減少しているのが一目瞭然に見て取れる。

さらにこの半年近くの間、つまり前回の記事以降、中国の買い増しスピードが加速度的になったあとややその速度をゆるめていること、ブラジルやイギリスが(国内的な経済の傾きであっぷあっぷしているからか)買取額を減らしていること、日本も再び多少ではあるが「額面上の」買い増しをしているのが分かる。また、石油産出国やカリブ諸国の銀行が地味ではあるが着実に保有量を増やしているのも確認できる。

これらの動向をもう少し詳しく見るために、期間を2006年1月以降に限定したグラフが次の図。
米国債の引き受け先(主要国のみ、2006年1月~)
主要国の動向を額面上からまとめると次の通り。
・日本……漸減から微増へ。
・イギリス……起伏が激しいが、全体的には横ばい。
・中国……増加。2008年後半から急増、ただし2009年以降は上昇率がゆるやかに。
・カリブ諸国の銀行……2008年9月以降急増。絶対額は少ないが、割合ではこの半年で2倍近くに。
・ブラジル……2008年半ばを境に漸減へ。
日本は運用資産のポートフォリオの組み換えをしている最中ということもあり、アメリカ国債の保有額が漸減していたが(ドルベース換算なので為替変動は無関係)、この半年の間に再び増加傾向を見せている。引受依頼があったからか、中国との立ち位置が逆転され外交上の問題が発生したからか、他国債とのリスクを勘案した結果なのか、はたまた他の理由によるものか、このグラフからだけでは判断できない。ただ、もっとも有力な推定については後ほど説明するが、「発行総額に対する比率」で購入額を決めているフシが見られる。

一方、中国・カリブ諸国の銀行の増加振りが目立つ。カリブ諸国の銀行は半年で2倍近くに増加、そして中国は2008年の9月で日本の保有額を追い抜いて「もっとも多くの米国債を保有している国」の座を確保して以来、ずっと買い増しスピードを速めて積み重ねをしている。「米国債はデフォルトしない」という前提のもと、今がお買い得という判断からの選択だろうか。あるいはアメリカの財布のヒモを握ることで、外交上においても優位に立とうという「大戦略」に基づいた決定なのかもしれない。

それでは各国の引き受け額が発行額全体に占める割合はどのくらいで、どのような変化を示しているのか。それぞれの比率の比較と、全体軸に配したグラフの双方で表してみる。
米国債の引き受け先(全体軸に配したグラフ)
米国債の引き受け先(全体軸に配したグラフ)
米国債の引き受け先(棒グラフ)
米国債の引き受け先(折れ線グラフ)
「米国債の引き受け先(全体軸に配したグラフ)」は前回までは「掲載されている国別区分内の総額における割合」を掲載していたが、「掲載国以外にもアメリカ国債を買っている国はたくさんある。掲載しないのはおかしい」という意見をいただき、納得のいく指摘だったので、今回からは6国区分以外のもの(「その他」)を黄色で着色し掲載することにした。

オイルマネーと呼ばれる石油産出国は「額面上は」買い増しを続けているものの、全体的な比率としては一定枠を維持しているのが分かる。あるいは意図的に、比率を維持しつつ額を上下しているのかもしれない。また、前回(半年前)に大いに割合を増やしていたイギリスも再び失速。その一方、「その他」の割合がヨコヨコであることとあわせて考えると、他国の減少分+増刷分を中国が買い取っているのがよく分かる。

日本は発行額全体に占める割合は減少・横ばいの傾向を維持しており、絶対額の増加は中国のような意図的なものではなく、バランス調整上の増額であったことがうかがえる。



少なくともこのグラフを見る限り、「国債を持っている(借金証書が手持ちにある)」という意味では、アメリカに対する中国の意見力は増加中である、と考えるのが正しい。また、「カリブ諸国の銀行」の総額・割合が少しずつ増加傾向を見せているのも気になるところ。

これらのグラフはあくまでも発行側であるアメリカの立場から見たもの。つまり繰り返しになるが米ドルベースでの計算なので、日本円に計算した場合の日本の米国債の保有額はもっと少なくなる。日本が対外債の購入割合・額を大幅に減らしたという話は聞いていないので(年金などで運用を弾力化し、手堅い債券から株式などに割合をスライドさせるという話はある(【年金運用、第2四半期は1.6兆円の赤字・サブプライム問題の影響色濃く】))。米ドルベースでの「額」は増額しているが、発行全体額に占める「比率」は減少傾向を続けているので、満期を迎えた国債を償還し、代わりに新規発行の国債を購入する際に、バランスの調整をしているのだろう。つまり、発行全体額に占める割合を維持・減少という基本方針に変わりはないが、発行額全体が急増してしまっているので、結果として購入額も増加してしまったわけだ。

さて最初に「2009年4月は大切な月だから、データが掲載されたら改めて更新版を記事にする」と書いた。これは、年度替りで各国が何らかの方針転換をしてくる可能性がある、という理由によるもの。欲をいえばクライスラー破たんの5月、GM破たんの6月と、毎月のように米国債発行増額のカギとなるイベントが目白押しなので、毎月経過を追っていきたいところだが、こればかりは今のところ「未定」としておく。

「日本市場の上場企業の倒産件数のグラフ化」記事のように、書くべき要件が生じたり、求めがあればそのように対処するつもりではある。

■関連記事:
【アメリカ国債の引き受け先をグラフ化してみる(2009年1月更新版)】
【アメリカ国債の引き受け先をグラフ化してみる(2008年6月執筆)】

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